●千葉県　A様邸の庭

「敷地全体の土中環境改善（土中通気、雨水浸透改善）と植栽および庭リニューアル工事」

親方の元を独立後、最初に施工させていただいた千葉県にある個人のお客様のお庭です。

お庭全体の、土中通気浸透改善と、庭のリニューアルということでご依頼を頂き、施工させていただきました。

元々植えられていた木を掘り取って、根巻き移植し、既存の石版やブロックなどの移動や据え直しなどを行い、

元々あったものを最大限に活かし、施工させていただきました。

●施工前の様子

最初に現地調査にお伺いさせていただきました。

その時に庭の屋外空間から受ける雰囲気や印象から、土の中の水の滞りの気配を感じました。

庭空間の土の中の空気の通気性、雨水の浸透性を回復させるべく、

施工時は最初に敷地まわりに溝掘りと、深い穴を点々と掘り、それにより地面の通気性と浸透性を促すための作業を行いました。

敷地の周りに素掘りの溝を掘ることによって地面には落差（高低差）が生じます。

土の中の水の動きは、低い方へと集まり動いていきますので、敷地に溝を掘り巡らせ、平地でも庭の中に意図的に高低差を設けることで土の中の水の動きができてきます。

今までその場で動けず浸み込めず、じっととどまっていた水（地表付近の停留水）が溝の方向へと動き出します。

「動く」というのは地面表面を伝い流れることではありません。

土の中の水みち（隙間）を通ってを移動するのです。

さらに点々と深みを作る（穴を掘る）ことで、その深みに向かって、より水が集まっていきます。

集まった水は穴底からさらに地中へと浸み込んでいきます。

浸み込めば浸み込むほど水みち（みずみち）が開かれ、大きくなり、それが恒常的に繰り返されることによって水脈となっていきます。

そのようなメカニズムで土の中の水の動きを作ります。

また、植栽を施した後にも寄せ植えのマウンド単位でその周りにも溝を掘り巡らせています。

また点々と深みを作る（深い穴を掘る）ようにします。

樹木の植わっている周りでも起伏をつけることで落差を設け、さらに溝と深みでより高低差をつけます。

木の周りの土の中でも水と空気の動きができると、木の根もそれ自体が呼吸し酸素を必要としていますので、土の中の水が動くたびに空気も動き酸素が供給されるので、よりよく成長していきます。

また溝や縦穴に入れた有機物によって、土中の好気性（空気を必要とする）微生物の活動（分解）が活発になり、分解されていく過程で土中にも微生物を呼び込みます。

その過程で目視で菌糸を確認できることがあります。

溝や穴の中には有機物を枝同士絡ませるように入れます。

これはほどよい隙間と密着具合によって、乾燥しすぎず湿潤しすぎず良いバランスで、しっとりとした状態を保つことによって分解が森の落ち葉を根元で分解されて腐葉土に向かっていく段階に倣い、その状態を実現させるためです。

穴には通気口として竹筒を入れています。

また完成すると分かりませんが、板石の下にも溝を巡らせていきます。

松下造園風景舎の施工では見えないところにも、ひと手間をかけています。

その溝にも深みをつけ、より敷地全体で浸透し、周囲に掘り巡らされた溝の方へ土中水が動くことで、敷地全体で浸透の流れを作っていきます。

浸透することによってできた水みちの隙間は、逆もしかりで地中からの空気を吐き出す方にも作用します。

地面内のガスや空気が出ていくのです。

目視で確認することはできませんが、地面は絶えずこのように呼吸しています。

晴れた日に呼気し、雨水が浸透することで空気も動き吸気していきます。

最後は落ち葉などの有機物で土の表面を、雨水の直撃と直射日光から守るように、グランドカバーとして仕上げです。

コンポストもご要望により作らせて頂きました。

敷地の裏で使用されていた「すのこ」をバーナーで焼きそれをリユースして作らせていただいています。

コンポストの周りにも溝を掘り巡らせることにより、コンポストの上の土に隙間ができ、よりその土が呼吸することによって上に置いた落ち葉や内容物が分解されやすいように工夫しています。